――夜、自然公園の傍を歩く4人――
ルヒト
今、何か聞こえませんでしたか?
ハチ
……どのような音ですか?
ルヒト
歌声のような、綺麗な音でした。
ハチ
私には聞こえませんでしたが……。
ルヒト
チラッと聞こえただけでしたから。
ホタル
それは高い音?
ルヒト
高音で、楽しそうな感じがしました。
気になるのでちょっと見に寄って帰ります。
ホタル
こんな時間に不思議だね。
みんなで行ってみない?
ガジロ
行くのか?
(眉間に皺を寄せる)
ホタル
ちょっと気になるからさ。
勘違いならいいんだけどねー、良かったら来てよー。
リンクン、どのあたりから聞こえた?
ルヒト
公園の中です。
(音が聞こえた方に向かって歩き出す)
こんな場所があったんですね。
ホタル
昼間は結構人がいて賑やかなとこだよー。
ハチ
……今、子どものような声が聞こえました。
ルヒト
ハチも聞こえました?! ね! 聞こえましたよね。
歌と子どもの声……親子連れでしょうか?
ガジロ
(舌打ちする)
じゃあもういいな。出るぞ。
ハチ
……人の声ですか?
妙に高い位置から聞こえた気がしましたが。
ホタル
若い子にだけ聞こえてたりする?
待って待って、サギリは聞こえた?
ガジロ
俺は聞こえなかった。
ホタルは?
ホタル
僕も聞こえないね。
ただ……ちょっと違和感あるかも。
ガジロ
じゃあ退避で決まりだ。戻るぞ。
(踵を返す)
ハチ
……ルヒト、まだ聞こえますよね?
ルヒト
はい。今も聞こえてます。
ガジロ
そっちを見るな。
帰るぞ。
ルヒト
何かあるんですか?
ホタル
逆かな、何かあるかもしれないからだよ。
ほら、ハチクンも……ハチクン?
ハチ
……外の音が聞こえませんね。
(車など、公園外からの音がないことに気づいて立ち止まっている)
ガジロ
立ち止まるな。
聞こうとするな。
ルヒト
でも……。
ガジロ
説明はあとだ。
ルヒト
誰かいますよ?
ハチ
確かに、あそこに誰か――。
ホタル
ハチクン。
(腕を引っ張って自分の方を向かせた)
ガジロ
尾久。俺の前を歩け。
ホタルも、八雲を連れて前歩け。
ホタル
サギリを後ろにするのもどうかと思うけど――お願い、ハチクン。動いて。
ハチ
――え、あ、はい。
ホタル
変な感じする?
とりあえず、サギリの方に行って。僕じゃ抱えてあげられないからさー。
ルヒト
行きましょう、ハチ。
(ハチの背を押す)
ハチ
すみません。妙な感じがして――。
(軽く頭を振り、押されるがままに歩き出す)
(ルヒトとハチの足元あたりから笑い声が響く)
ホタル
――出口まで走って!
ルヒト
はい!!
(言われるがまま全力で走り出す)
(ガジロも殿を走る)
ホタル
――サギリ、ふたり頼んだ!
(ルヒトとハチが走っていく様子を確認してから振り返った)
(異質な気配に気がつき、速度を緩めてガジロを先に行かせてから立ち止まる)
ガジロ
――了解!
ルヒト
(速度を緩め、ガジロに並走する)
ガジロさん、様子がおかしいです。出口に着きません。
ハチ
……これはどういうことですか?
(ふたりに合流して首を傾げる)
ガジロ
闇雲に動いてても出られねえってこった。
これ絡みでコンバートは何か言ってなかったか?
ハチ
コンバートの最新配信は雑談でした。
新しいゲームに関する具体的なことは特に……いえ、セッケイズが足りない、とは言っていました。
ガジロ
(早歩き程度に速度を落とす)
設計図?
それだけじゃヤツ絡みの異常かどうかわからねえな。
“違和感”を探せ。見た目は現実と変わらねえが異常が発生してるならどこかおかしいはずだ。
それと絶対1人にはなるな。
ハチ
分かりました。
しかし、ケイ先輩が――。
(追い付いたホタルを振り返る)
ホタル
やられちゃったみたいだねー、まだ姿は見せてくれないみたい。
リンクン、ハチクン。今も何か聞こえる?
ルヒト
笑い声が聞こえています。
ハチ
私は歌声が聞こえています。
ホタル
そうかー……仕方ないなぁ。
ここから出してくれないみたいだし、姿を見せてもらわないとね。
違和感を探ろう。でも、それぞれの声が届く範囲以上は離れないように。いいね?
ルヒト
了解。
ホタル
何か見つけたら、すぐに声を出してね。
僕が反応しなかったら、サギリのところに走って。
サギリが反応しなかったときも、サギリのところに行ってあげてねー。
ハチ
ガジロ先輩に集合ですか?
ホタル
そう、サギリを拠点だと思ってね。
サギリは、僕から反応なかったらふたりをお願いねー。
ガジロ
了解。
危険を感じた時も迷わず俺のところに来い。てめえらが単独で対処するよか安全だ。
それと尾久、この場では諜報部上位のホタルが指揮官になる。ホタルの指示に従え。
ルヒト
わかりました。
ガジロ
返事。
ルヒト
あ、了解!
ホタル
リンクン、良いお返事ー!
音が聞こえる君たち狙いかもしれないから用心するんだよ、深追いはしないこと!
ハチ
了解です。
ルヒト
キリツボさん、さっきの人影には遭遇しましたか?
ホタル
僕はだめだったね。
確かに気配はあるんだけど……リンクン、何か感じる?
ルヒト
視線を感じます。
(視線を感じる方向へ歩を進める)
何か、います。……黒いてるてる坊主?
(ハッキリと見えなくてじっと目を凝らす)
ホタル
(ルヒトの視線を追って目を凝らす)
あれか――っと!
(駆け出そうとした瞬間、足元から双子ラフィが出てきて咄嗟に後ろへ下がって回避する)
ルヒト
あれを捕まえたらいいですか?!
(黒いてるてる坊主に向かい駆け出す)
ガジロ
は?! 待て!
ホタル、尾久のフォロー行けるか?!
(黒いてるてる坊主に向かったルヒトを双子ラフィが追いかけた)
ホタル
了解!
ハチクンは任せた!
(ルヒトを追って駆け出す)
(黒いてるてる坊主に近づいたルヒトは急停止する)
ルヒト
足元に何かいます!
ガジロ
何がいる?!
ルヒト
木の根みたいな塊が数体!
向かってきます!
ガジロ
戻ってこい!
ルヒト
はい!!
(迷わず背を向けて走る)
ホタル
あー、そういうことか。
あっちに行かせたくないんだね?
(駆け戻っていくルヒトとすれ違ったタイミングで立ち止まる)
(行く手を阻むように再び現れた双子ラフィを見上げると、周囲を謎の塊たちに囲まれた)
ハチ
ケイ先輩!
ホタル
こっちは大丈夫だから、三人で固まってて――っと!
(足元から出てきた黒い何かに片脚を取られて引っ張り上げられる)
わぁ、すごい。物理的な接触が可能なんだね!
ハチ
……あれは大丈夫なんですか?
(困惑してガジロを見る)
ガジロ
大丈夫だ。ホタルを信じろ。
俺達は脱出の糸口を探そう。
ハチ
分かりました。
(ガジロとホタルをそれぞれに見て頷く)
ホタル
あっ、そうそう、特にリンクン! 離れないように気を付けてねー!
(ジャケットの後ろに手を回して専用F.R.A.M.E.――エッジ・ファントムを構え、金属音を響かせながら左右それぞれに握った武器で黒い物体を切りつけて着地する)
あー、サンプルは採れそうにないから、映像を残した方が良いかも!
(霧散した物体を見届けてから三人の方を振り返る)
ルヒト
了解です!
ガジロ
録画状態にして端末を首から下げとけ。
両手は使えるようにしとけよ。
(根の塊のような異常が数体、ルヒト達に向かってきている)
ホタル
手ごたえはあるけど、紙みたいに軽いね。
対処しようがある点は助かるけど――キリがないなー!
(寄ってくる黒い塊を切り捨て、双子ラフィの姿が消えた瞬間に三人の方へと駆け出す)
ルヒト
さっきのてるてる坊主が見当たりません。
(辺りを見渡す)
ハチ
さっきいたところには何も――。
(周囲を見回したとき、てるてる坊主と目が合ったような気がして思わず動きを止める)
ルヒト
ハチ?
(駒達が地を這いハチに向かって来る)
ハチ
ルヒト、あそこに……。
(てるてる坊主から目を離せないまま、指で示そうとする)
ホタル
ハチクン、避けて!
ハチ
……!
(駒達から伸びた手足によって足を掬われて転ぶ)
ルヒト
ハチ!
ガジロ
てめえは離れてろ!
(ルヒトを押しやり、ガジロがハチを助け起こそうとする)
ホタル
サギリ、今!
(ハチの両足に纏わりつく駒達を、ギラつく金色のScissors type_F.R.A.M.E.――エッジ・ファントムで切り裂く)
ハチ
す、すみません。
(ガジロに助け起こされて立ち上がる)
ホタル
だめだなぁ、やっぱりキリがない。元を絶たないと。
(エッジ・ファントムを剣のように両手それぞれで構えたまま周囲を見回す)
ルヒト
あのてるてる坊主が本体なのでしょうか?
(話しながら周囲を警戒する)
ハチ
確かに……あれを見た途端でした。
ホタル
可能性があるなら試すしかないけど、厄介だなぁ。
小さいから見失いやすいんだよねー。
ガジロ
位置の捕捉と攻撃を分担するか?
ホタル
んー、視認がトリガーになる恐れがあるからなぁ。
どちらかといえば、防御がほしいかも。
みんな、何か尖ったものとか持ってる?
ルヒト
尖ったものですか?
手持ちにはありません。
(ポケットを探り、ハンカチや貴重品を取り出してはしまう)
ホタル
んー、やっぱりないかー。
ハチ
……これは使えますか?
(鍵を取り出す)
ホタル
悪くないかも!
尖った石でも枝でもいいから、とにかく素手よりはマシだと思うよ。
手ごたえは本当に紙に近かったからさ。
ルヒト
なるほど、紙を破けそうなものなら何でもいいのですね。
アイスピックみたいな物がいいのかと思ってしまいました。
ガジロ
そんなもんポケット見なくても持ってねえの分かるだろうがよ……。
ホタル
アイスピックを持ってる可能性あったの?
ハチ
ライターでもあれば良かったかもしれません。
ホタル
どうして君たちは物騒なの?
ルヒト
何でもいいなら何か適当に拾います。
(地面を見ながら浅い人口の川の方へ歩いて行く)
ホタル
リンクン、気を付けてねー!
ハチ
鍵だとリーチが足りないので……私も拾ってきます。
(周囲を警戒しながら歩いていく)
ホタル
自由ー!
ハチクンも気を付けてねー!
(ガジロを守りつつ、新人たちを見送る)
ガジロ
あいつら、危機感がねえのか?
ホタル
図太いのは悪いことではないけどね。
サギリ、これ片方使う?
(自分の武器であるエッジ・ファントムを持ち上げて示す)
ガジロ
いらねえ。
ホタルが使え。
それより、こっからどうする?
ホタル
護身用にも使えるのにー。
うん、各自武器を確保したら、本体探しをしよう。
ハチ
ありました。
(割れたガラスボトルを片手に戻ってくる)
ホタル
……わぁ、世紀末ー!
ルヒト
キリツボさーん!
本体いましたー!
(50cm程の棒で本体を指し、ホタルたちの方を向いて叫ぶ)
ホタル
リンクン、優秀ー!
そのまま見張ってて!
ほら、ふたりとも行くよー!
ハチ
了解。
ガジロ
ちっ、がっつり狙われてんじゃねえか。
(ハチとホタルの後ろから付いて行く)
ホタル
やっぱり声が聞こえたのはお誘いかもねー?
リンクン、異変ない?
(ルヒトの近くで立ち止まる)
ルヒト
根っこが向かってきてます!
ハチ
やはり、ライターの方が良かったのではないでしょうか。
ホタル
そこは公園に影響出るかもしれないからさ……。
ハチクンはリンクンについててあげて!
(駆け出して、本体ではなく根っこを踏んでみる)
(踏まれた根はくしゃっと潰れ、消えた)
(他の根がルヒト、ハチ、ホタルを捕まえようと迫る)
ルヒト
キリがないですね!
(枝で根を払い打つとくしゃっと潰れて消える。そしてまた次の根がやってくる)
ホタル
やっぱり本体か。
根がこっちに来てる分には、居場所が特定できて良いけど、ね!
(本体の黒いてるてる坊主へと駆け寄り、エッジ・ファトムを振るう)
ルヒト
すごい……。
(てるてる坊主はホタルに根達を差し向ける。歓迎するかのように根を広げ、ホタルを捕まえようとする)
ガジロ
ぼーっとすんな!
(ルヒトを捕らえようとした根を素手で掴み握り潰す)
ホタル
――ああ、確かにこれは紙だね。
(エッジ・ファントムを構え直して根を切り裂きながら距離を詰める)
(ルヒトとガジロを囲むように、四組の双子ラフィが出現する)
ハチ
ルヒト、ガジロ先輩! 伏せてください!
(一組の双子ラフィにガラスボトルを投げつける)
ガジロ
っ!
(慌てて伏せる)
ルヒト
(ガラスボトルを避け、ガジロの方を向く)
そのまま伏せていてください。
(枝を突き出し、ガジロの背後に迫る双子ラフィを刺す)
ハチ
……ああ。
(投げつけたガラスボトルが双子ラフィを引き裂いて割れたことを残念がる)
(仕方なく、もう一方の一組へと蹴りを繰り出して破り割いた)
ホタル
――っと! 君、思ったより小さいねぇ!
(距離を詰めた先で黒いてるてる坊主に二連撃を繰り出す)
ルヒト
あとは……つっ!
(残る双子ラフィに駆け寄る。その足を木の根が絡めとった。勢い余り転んだルヒトに木の根達が群がる)
ハチ
ルヒト!
(ルヒトに駆け寄り、群がっている木の根達を蹴り飛ばして散らす)
ルヒト
ありがとうございます。
(体にまだ数体つけたまま起き上がる)
っ取れない!
ホタル
――へぇ? やっぱり、本体で合ってるね。
(黒いてるてる坊主を庇うように出てきた双子ラフィを切り裂く)
ハチ
ケイ先輩!
(ルヒトごと蹴るわけにもいかずにホタルを見た)
ホタル
(ハチの声に反応して振り返り、状況を確認する)
おっと? ――紙なら水が効くかも!
ガジロ
尾久! こっちにこい!
(公園内の水路に呼ぶ。普段は子どもや犬が入って遊ぶような場所だ)
ルヒト
根のやついます?!
動きまわってる感覚はあるんですけど掴めないんです!
ガジロ
こっからじゃ見えねえ! ジャケット脱げ!
つか早く来い! 走れ!
(根は数を増やしハチに押し寄せる)
ホタル
ハチクンも水辺に走ってー!
水が有効なら、少しでも濡れたら大丈夫なはずだから!
リンクンも全身浴びちゃってー!
(寄ってくる双子ラフィをかわしながら指示を出す)
ハチ
了解!
(寄ってくる根を踏みつけ、蹴散らしてから水路に走る)
ルヒト
ガジロさん取ってください!
ガジロ
ジャケット寄越せ!
ルヒト
はい!
ガジロ
てめえは飛び込め!
(水路を指す)
ルヒト
はい?!
ガジロ
ちっ(水路に蹴り落とす)
ルヒト
うわ?!
(水路に落ち全身に水がかかる)
ハチ
ルヒト、大丈夫ですか?
(水路に辿り着いて、ついてきた木の根達に水をぶっかける)
ルヒト
酷い目に遭いました……。
けど体についた根は消えたみたいです。
ハチ
やはり水が有効でしたね。
性質としては紙ということでしょうか。
ルヒト
そのようですね。
キリツボさんは?
ハチ
ケイ先輩はあちらで……本当におひとりで大丈夫でしょうか。
(双子ラフィ数組に囲まれているホタルの様子を見て、思わずルヒトとガジロを見る)
ルヒト
囲まれてる!
ガジロ
いい機会だ。よく見とけ。
ハチ
見とけ? ですか?
(困惑しつつホタルを見る)
ホタル
――賢い。ちゃんと取り囲むんだね。
(エッジ・ファントムを軽く投げて逆手持ちにし、左右で弧を描くように双子ラフィ達を切り捨てる)
あっ、それとも学習できるのかな?
(片脚を軸に回転して、前後から寄ってきた双子ラフィを振り向きざまに切りつけてその場に立ち直す)
ルヒト
すごい……。
ハチ
……あれがF.R.A.M.E.の威力ですか?
(ホタルの動きを眺めつつガジロに聞いてみる)
ガジロ
ホタルの戦闘センスの賜物だ。
F.R.A.M.E.……エッジ・ファントムの斬れ味は確かにいい。
が、体の動きを補助してるわけじゃねえ。
だからあれは純粋にホタルが強えんだ。
ハチ
他のF.R.A.M.E.などで補強しているわけでもないのですか?
(意外そうに目を瞠ってガジロを見る)
ガジロ
してねえな。
なんだ、ホタルの戦いを見るのは初めてか?
本部の訓練でもギャラリーができるくらいだぞ。
(得意げに語る)
ハチ
きちんと見たことは……。
ギャラリーができるんですか?
ルヒト
そういえば、聞いたことがあります。
ガジロ
誰か録画してるだろうから聞いてみろ。
――もっとも、ここから無事に出られたらな。
(近寄っていた木の根を踏み潰す)
ハチ
聞いたことあったんですか?
映像まであるんですか? それは教材なんですか?
(迫ってきた木の根を蹴りつつ好奇心のままに質問を繰り返す)
ガジロ
教材ではねえよ。いや、撮ったやつにしてみりゃそうか。
ホタル
――殺傷能力は高くなさそう。むしろ低い。
まだ目的が分からないなー。遊びたいのかなー?
(黒いてるてる坊主を探しつつ、背後に現れた双子ラフィを切り捨てて三人を振り返る)
そっちは大丈夫そうー?
ガジロ
おー、ホタルが強えって話で盛り上がってるぜ。
(木の根を潰しながら答える)
ホタル
え? そうなの?
あははっ、大袈裟だよー。
(三人のもとに寄っていく)
ハチ
大袈裟でしたか。
ホタル
力だけならハチクンの方が強いよー。
(エッジ・ファントムを振るって近くの木の根を払う)
ルヒト
にしても、キリがありませんね。
ホタル
……そうなんだよねー、キリがない。
だから、本体を探さないといけないだろうね。
ルヒト
本体はすぐ見つけられると思います。多分ですが。
ホタル
問題は邪魔が入ることだねー。
ほら見て、すごくない? 僕のことをきちんと警戒してる!
(自分の周囲に双子ラフィが出現したことを示して言う)
ルヒト
あれもずっと現れますね。本体が別にあるのでしょうか?
ホタル
本体同士でいるのかもしれないねー。
(双子ラフィを切り捨ててから、木の根を踏む)
ハチ
キリがない……こちらを疲弊させてどうするつもりでしょうか。
ガジロ
さてな。
目的は考えるだけ無駄だ。知ったところで役に立たねえことの方が多い。
覚えておけ。
大抵の異常は接触すると何かを奪う。そういう“現象”だ。
だからその現象のルールを知って、それを破るしかねえんだよ。
ホタル
気になるのは分かるよー!
僕も把握したいからね。
けど、サギリの言う通りだよ。
決して理解しようとしちゃだめだからね。
さぁて、本体を探そうか。
ルヒト
キリツボさん、先程から視線を感じます。
本体のものとすれば視認可能ですが、今確認してもよろしいでしょうか?
ホタル
分かった。確認してみて。
本体の動きは遅そうだったけど……。
妨害ツインズの本体も出るかもしれないから、そっちは任せて。
異変を感じたらすぐに言うんだよ。
ルヒト
では――
(視線を感じる方を向き……見つけた)
そこです!
ホタル
――っと!
(ルヒトの声に反応して振り返った瞬間、双子ラフィ数組に取り囲まれる)
ハチ
……!
(木の根に足を取られて一時的に動きを止める)
(四人全員に黒いてるてる坊主の駒が大量に群がっていく)
ガジロ
(眉間にシワを寄せ、ホタルの様子を伺う)
ルヒト
!
(武器を持たないガジロの前に立ち、枝を構える)
ホタル
――各自気を付けて! 手が必要なら声を上げて!
(双子ラフィに囲まれているせいで他三人の様子が見えていない)
(数組の双子ラフィの中に本体がいないかを観察後、寄ってきた駒ごとエッジ・ファントムで切り捨て始める)
ルヒト
ガジロさんにも根が向かっています!
フォローします!
(濡れた棒で根を振り払う)
ガジロ
俺と尾久は問題ねえ!
ハチ
ケイ先輩、すみません!
(蹴り払っても次々と群がる木の根に足を取られ、集まってきた駒達に引っ張り上げられる)
ルヒト
ハチ?!
(ハチの窮地に気づくも、目の前の根を払うので精一杯になっている)
ホタル
――! 足を封じてきたのか、やるね。
(周囲の双子ラフィを片付けてから駆けつけて、ハチを見上げる)
ちょっと位置が高いかも。サギリ! ジャンプ台できるー?
ガジロ
来い!
(即座にジャンプ位置へと走り、腕を下げ両手を組み姿勢を低くする)
ホタル
ありがとう!
(ガジロに駆け寄って組まれた両手に足を掛け、エッジ・ファントムを構え直す)
ハチクン、着地準備! リンクンは眼前に集中!
ハチ
は、はいっ!
ルヒト
了解!
ガジロ
っらぁ!
(ホタルの片足が手に乗った瞬間、両腕をぐっと持ち上げる)
ホタル
……っと!
(ガジロの助けを借りて跳ね上がり、ハチにまとわりついた駒達を切り払う)
ハチ
……!
(受け身を取って着地する)
ホタル
いた!
(着地と同時に駆け出して、黒いてるてる坊主を切りつけた)
(黒いてるてる坊主は抵抗なく切られ、消えた)
ルヒト
根が、消えました。
ガジロ
本体が消えたら駒も消えるタイプか。
八雲、体に異変はないか?
ハチ
はい、問題ありません。
(体を確認してから頷く)
ホタル
本体と駒達が連動していたみたいだね。
ツインズは……急に来るかもね。
出口を確認しようか。
ルヒト
掴まれたところを見せてください。
痕になってないですか?
ガジロ
空間の異常が解けてねえ。
こっちはあの双子の仕業か……まだ他にもいるか。
音や匂いに変化はないか?
ハチ
痛くはなかったので、大丈夫かと……。
ルヒト
ならよかったです。
(ほっとする)
ホタル
んー、他にいるかもしれないね。
三段構えかなぁ?
ハチ
音は……笑い声が聞こえます。
ルヒトはどうですか?
ルヒト
音……ああ、微かに笑い声が聞こえます。
ハチ
本当に微かです。
小さいというか、遠いというか、曖昧ですが。
ホタル
うーん。姿を見せてくれないことには対処できないね。
こっちの体力も無限ではないんだけどなぁ……。
ガジロ
持久戦に持ち込まれると不利だ。
何か手はあるか?
ホタル
相手のことが分からないからなぁ、調査部がいたら良かったんだけど。
ハチクンを連れて行こうとしたから、目的はそれだと仮定しよう。
となれば、閉じ込めたのは目的を果たすまで逃さないため。
ハチ
……詰みました?
ホタル
条件的には不利かも。
けど、まだリンクンとハチクンには声が聞こえてる。
つまり、誘ってるわけだよね。――よし、無視しよう!
ルヒト
無視ですね。了解です。
しかし彼らにとって、こちらの安否はどれほど重要なのでしょうか?
少なくとも、あんまり放置されると私は体調を崩す恐れがあります。
(濡れて冷えた体を両腕で抱える)
ホタル
重要ではないだろうね。
だから、こっちでコントロールしよう。
リンクンに風邪を引かせるわけにもいかないしさ。
気配がしても振り返らないで、ギリギリまで引き付けよう。
ハチ
ルヒト。私のジャケットでよければ羽織っておきますか?
ルヒト
ありがとうハチ。でもハチのジャケットが汚れてしまうので大丈夫ですよ。気持ちだけもらっておきます。
(気遣いが嬉しい。柔らかく微笑む)
ガジロさん、そろそろ返してください。
ガジロ
ほらよ。
(預かったままだったジャケットを返す)
ホタル
ハチクンって体温は高いほう?
(ハチの持つクロノ・トレーサーを示す)
ハチ
高いかと思います。
(クロノ・トレーサーを起動する)
ホタル
基礎代謝量すごそうだもんねー。
(スキャンを待つ)
ハチ
はい。
(ルヒトとガジロの方を見る)
ルヒト
もしかして今手が暖かいですか?
(ハチの手を取ろうとする)
ガジロ
濡れてなくても流石に夜は冷えるな。
ホタルは平気か?
(クロノ・トレーサーが見えるようにホタル達に近づく)
ハチ
はい、おそらくは。
(空いている手をルヒトに差し出してみる)
ホタル
凍えるほどではないから平気だけど、すごく寒いよー。
もうちょっと筋肉つけなきゃなのかなぁ。
(スキャンが終わったクロノ・トレーサーをガジロに示す)
(四人の周囲を何かが徘徊している形跡がある)
ルヒト
ふふ。
(クロノ・トレーサーが無い方の手を差し出されて思わず笑う)
うん、暖かいです。
(せっかくなので両手でハチの手を握り暖を取る)
ガジロ
防寒なら脂肪つける方がいいんじゃねーか?
(クロノ・トレーサーの表示を確認し、「どうする?」と目でホタルに問う)
ハチ
ルヒトは冷えてしまいましたね。
もう少しがんばってください。
ホタル
脂肪は体温を保ってくれるけど、熱を生み出すのは筋肉でしょー。
(ガジロを見て「まだだ」と言うように首を振る)
ガジロ
そりゃ筋肉も必要だけどよ。熱生むためにも蓄えはいるぞ。
尾久くらいがちょうどいいんじゃないか? なあ?
(クロノ・トレーサーを見せるため呼ぶ)
ルヒト
え? 私のスタイルがいいって話ですか?
(ハチの手を離しガジロがいる方に回る)
ホタル
リンクンのスタイルが理想的なんだってさー。
(ハチが装着しているクロノ・トレーサーを示しつつ、周囲を窺う)
ハチ
ガジロ先輩の理想ですか?
(クロノ・トレーサーの解析結果を眺めている)
ガジロ
おい話がおかしくなってんぞ。
(眉間に皺を寄せる)
ルヒト
そういえば肉付きのいい人がいいって言ってましたよね。
(クロノ・トレーサーの解析結果を眺める)
ガジロ
てめえはどんな体型だろうと対象外だ。自惚れんな。
(そっぽを向く体で3人に背を向け数歩離れる)
ホタル
あー、肉付きも才能と素質が必要だもんね。
(クロノ・トレーサーの反応が変化すると同時に、新人に制止を示してガジロの方へ向かう)
ハチ
……。
(ルヒトを一瞥して頷く)
ルヒト
……。
(ハチと視線を重ね頷く)
ホタル
――サギリ。
(ガジロの前に出てエッジ・ファントムを突き出した瞬間、正面に双子ラフィが現れる)
(双子ラフィの背後には、今まで見たことのない何かも立っている)
やっぱり、守るために出てくるみたいだね。
ガジロ
なんだあのでけえのは。
(新種の何かをじっと見つめる)
ホタル
新しい個体だね。いや、個体なのかな……三体でひとつになってるみたいに見えるね。
(新種を庇うように立っている双子ラフィにエッジ・ファントムを突き付けたまま)
ルヒト
攻撃しますか?
(ホタルに問う)
ホタル
そうだなぁ……みんな、武器は?
ハチ
私は手足を使います。
ルヒト
私はこれを使います。
(手にした棒を見せる)
ガジロ
俺は手ぶらだ。
(両手を上げて見せる)
ホタル
あー……。よし、僕がツインズを引き受けるよ。
その間にあっちに仕掛けてみて、サギリはふたりのサポートよろしく。
ヘルプが必要になったら声を上げること!
ハチ
了解。
ルヒト
了解。
ガジロ
了解。
ホタル
オッケー、各自行動開始!
(双子ラフィに駆け寄ると途端に分身されて包囲される)
ルヒト
……。
(新個体に向かって駆ける。中央のラフィに棒を突き出した)
ハチ
消えませんね。
(中央のラフィにルヒトの攻撃が通ったことを確認する)
ガジロ
攻撃を続けろ。
穴が開きっぱなしってことはダメージ蓄積型の可能性もある。
(ずぶ濡れのハンカチをラフィの片割れに向かって投げつける)
ルヒト
それ私のじゃないですか?!
(ジャケットのポケットを確認する。ハンカチが無くなっている)
ハチ
分かりました。
では――。
(残りのラフィに連続で蹴りを叩き入れる)
ホタル
特性が紙ならコピーは劣化する。
ということは――。
(双子ラフィの分身を片付けながら周囲を確認する)
ノイズなしが本体だね!
(数組を無視して一対の双子ラフィを狙って切り捨てる)
ルヒト
消えた……。
ガジロ
八雲、反応は?
(クロノ・トレーサーを指す)
ハチ
……先ほどのような反応はありません。
(クロノ・トレーサーを確認してからガジロに向ける)
ホタル
あー、良かった……。
さすがにクタクタだよー。
(その場に屈んで一息をつく)
ガジロ
(クロノ・トレーサーに反応が無いのを確認し頷く)
報告は明日にするか?
ホタル
僕は報告して帰るよー。
撮ってたら映像だけちょうだい。
ひとまず、外に出ようか。
ルヒト
動き回っていたのでちゃんと撮れてなかったらすみません。
(録画を回していた端末を渡す)
ガジロ
俺のも抜いといてくれ。
(同じく録画を回していた端末を渡す)
その間に車取ってくる。
ハチ
きちんと映っていないかもしれませんが……。
(端末を渡す)
ホタル
みんな、ありがとー。
(それぞれの端末を弄り始める)
あー、車助かる。リンクン達も疲れたでしょ。
ガジロ
(公園の外へ出ていく)
ルヒト
はい。というか、寒いです……。
ホタル
ごめんねー。
すぐに帰ってあったまってね。
ルヒト
こればかりはどうしようもありませんよ。
あの異常は、これで終わったのでしょうか。
ホタル
恐らくね。
調査部とも相談かなぁ……このエリアだけなら良いけど、意図してないものなら規模も分からないからなぁ。
……もう何も聞こえてないよね?
ハチ
私は特に……ルヒトはどうですか?
ルヒト
私も何も聞こえてません。
ホタル
そっか。それなら良かったー!
ふたりとも、何か異変があったらすぐに言うんだよ。
ハチ
はい。分かりました。
ルヒト
了解です。
(ガジロの車が到着する)
ガジロ
待たせたな。
ホタル
ありがとねー!
あ、これも返しとくね。
(それぞれの端末を渡していく)
ガジロ
おう。
(端末を受け取る)
尾久、後部座席に毛布あるだろ。着とけ。
ルヒト
ありがとうございます!
さあ、早く帰りましょう。
