関西調査部、廃病院を調査する

――関西支部調査部“南海 乃風みなみ のかぜ”と“仙匁 糸せんめ いと”は、異常現象の噂を確かめるためとある廃病院に向かっていた。この場合の異常現象とは、いわゆる都市伝説を指す。――

ミナミ ノカゼ(27歳)

センメ イト(27歳)

――これはコンバートが関係しない、普段の調査部の活動である。――

イト
あ、やっぱ今のとこ曲がるん?
あちゃー、ナビくんもっかい計算頼むわー。
知らん道てむずいんよなぁー。
(高速道路から降りてしばらく。運転しながら笑っている)

ノカゼ
やっぱり曲がるんやんな?!
おかしい思たんや。大人しゅうナビに従うてくれや。
(助手席で呆れ交じりに笑っている)

イト
言うてナビくん、たまに変なとこ通らそうとするんやものー。
三つ前の右折なんか階段行かそうとしてたやん? 罠やな罠!
はよ計算しよし。ん? あっ、ここでええの? ほな曲がるでー。
(順調に道を進んでいく)

ノカゼ
まぁたまにおかしな案内されるさかいなぁ。
今から行くとこは山やから特に気ぃ付けなあかん。

イト
ナビくんおかしなる怪談もようあるしなぁー。
怪異もテクノロジーに乗る時代なんやで、おもろいなぁ?

ノカゼ
人と共に在るもんやし、一緒に進化してまうんやね。
そのわりに共存するわけでもなし、不思議なもんやわ。

イト
憑依媒体が変わるだけ言うたら、分かりやすいかもしれんなぁー。
いまどきVHSブイエイチエス(ビデオテープ)使こても人間と遭遇できへんし、Blu-rayブルーレイにしとこか、みたいな。
……あかーん、Blu-rayも生産終わったんやったわ!

ノカゼ
え、あれ家庭用だけちゃうかった? 商用はまだ需要が……いやでも時間の問題か。
それに商用のやつに憑依されてもそんな怖ないし。
怪異もネット配信やったりするんかな?

イト
あー、ネット配信かぁー、有り得るなぁ。
今かて肝試し配信しとるかもやしね?

ノカゼ
配信なぁ。一長一短あるとしてや、怪異の強化になるケースあるから困るんよなぁ。

イト
お手軽なインパクトは好かれやすいもんなぁー。
再生数上がるわ拡散するわ、ほんま調査するこっちの身にもなってほしいでなぁ?
(カーナビをちらりと見る)
ああ、ここ? この道? こっから入ったらええんかな?
(一般道から外れた山道に差し掛かる)

ノカゼ
そこそこ。
その道をスッと行ってグーっと曲がってドンつきで止まったらええはずや。

イト
おー?
ほな、ガーッて入ってズンて登るわ。ドンつき分からんなってたら止めてなー、のんくん。

ノカゼ
はいよ。
(ルートに注意を払いつつ、会話を続ける)
最近じゃ東京でビジョンジャックされたやつあるやん?
あれからあっちゃこっちゃで異常現象発生しとる。これまでの怪異もあるのに仕事増やしよってからに、せわしないわ。

イト
ほんまやで。なんやゲームや言うてるやつやろ?
こっちも暇やないのになぁ?
そないされたら、おもろなってくるわ!
なぁ、四駆やないとココ登りにくいわ。ベタ踏みしたろ!

ノカゼ
四駆も必要か?
待ちぃ、ギュインてなるて!

イト
あっ、やっばぁ! おなかこすってもうたかも!
えっか、このまま一気に行ったろ。のんくん、つかまっときやー?

ノカゼ
なんしよるん!
これ岡山支所に借りてるやつやぞ!
(急いでアシストグリップを掴む)

イト
コラテラルダメージやてー、言うたら分かってくれるはずや。
たぶんな!
(アクセルを踏み込んで悪路を一気に登らせ、少し開けた場所まで突き進む)

ノカゼ
こらてらる?! なんやっけ、しゃーなししかたなくの破損的なあれか!
(激しく揺られながらも喋ることをやめない)

イト
そそっ! こないな山道に貸し出してるんやから、折込み済みやろってことで……おっ? あ、あれちゃう? 見えてきたわ!

ノカゼ
あれやあれ!
廃病院、聖○○○×××記念病院。

イト
いやぁ、案外近かったなぁ?
まぁまぁ飛ばしたけど。んー、えっか。車、この辺に止めとこ。
(門の前で停車して、改めて資料を確認する)
のんくんの言う通りや。ここで合うてる。

ノカゼ
まだ近うてよかったけど出発朝5時やで?
さっさと終わらせてはよ帰ろ。

イト
はよ帰れたらええけどねぇー。
いやぁ、早起きすぎておめめしょぼしょぼやわ!

ノカゼ
しょぼしょぼていつもと見た目変わらへんねん。

イト
よう見てみ? いつもはもっとぱっちりしとるから。

ノカゼ
んー、今日もどこ見てるか分からへんわぁ。けどそんなイトちゃんも素敵やで☆

イト
そらにっこりおめめは素敵やろ⭐︎

ノカゼ
ほんで装備は大丈夫か? 忘れ物ないな?

イト
んー、僕のは大丈夫やね。のんくんは?

ノカゼ
大丈夫や、問題ない。

イト
それあかん時のやつやわ、いっちゃんええの頼まなあかんで。
ま、大丈夫なら行こかー!
(車から降りる)

ノカゼ
よっしゃ行くで!
(車から降り、帯刀する)

イト
さすがに朝から肝試しの子とかは来てへんねぇ?
ほな、さっさとドローン飛ばして、遮蔽ヴェール作っとこか。調査中に人来るんがいっちゃん厄介やわぁ。

ノカゼ
肝試し言うたら暗なってからが本番やしな。
頼むわ。

イト
任しときー。
(数台の小型ドローンを起動させ、敷地上空に展開させる)
えっとー……よしよし、ちゃんと起動しよった。これで人払いは完了やな。

ノカゼ
4時間くらいで一旦切り上げるか?
ドローンに遠隔で電力供給できるとはいえ、エネルギーにも限りがあるからな。
あとうちらも腹減るし。

イト
お昼頃なったら引き上げてご飯にしよや。
ご当地グルメてなんやっけ、デミカツ丼??

ノカゼ
なんそれ美味しそうやな。
それしよか。

イト
たこ飯とかもあったなぁー……晩ご飯もご当地グルメ食べよ?

ノカゼ
食べよ食べよ!
海の幸も楽しみやわぁ。
やっぱ後に楽しみがあるとやる気出るな。

イト
ご褒美は必要やねぇ?
ほな、きびきび動こか!

ノカゼ
まず、入口どこや!

イト
裏手やっけ?
あっちやな。みんな、そこから入りよるらしいでー。悪い子らやわぁ。
(笑いながら移動開始)

ノカゼ
救急やったらこっちかな?
わー、開きっぱやね。
見るからに床も散らかっとるし。安全靴で来てよかったわ。

イト
あーあー、落書きもしっかり残してもうて。
ほんま気ぃ付けなあかんよー、何落ちてるか分からんしねー。

ノカゼ
まずは1階を攻略しよか。
クオサチでなんか反応ある?

イト
まだや。散らばらせとこかな。
手首に巻いている数珠をいくつか外して床に放る)
(自動的に転がっていく玉を確認してから耳のリングに触れる)
んー……今のとこ異常なしや。内部の地図あったやんな?

ノカゼ
あるで。
1階の区画はこんな感じや。
オーバーシアー マップを見せる)

イト
おおきにね。
えぇっとー? ほな、あっち行こか。この広いとこ……ロビーやね。
肝試しの子らも行きやすいとこやろうし。

ノカゼ
はーい。
ロビーはこちらでーす。ご案内しまーす。
(ツアーガイドのように、片手を上げて先導する)

イト
はーいガイドさん、おすすめのとこありますぅ?
(先導するノカゼについていく)

ノカゼ
はい、右手に見える受付カウンターが第一スポットになります。
ここにある電話が鳴る、という噂があるんですよ。気になりますねぇ。

イト
電話電話……お、あった。これやな? 回線切れとるけど、これが鳴る、と。
これはP.E.M.スキャナー使うべきやないですかー、ガイドさん。

ノカゼ
はい、P.E.M.スキャナーの出番でございます。兄さん、お願いします!

イト
ほいほい、ほな失礼して――。
(P.E.M.スキャナーを起動させて電話機を眺める)
おっとぉ? ガイドさん。キましたキました。
局所的電磁ノイズを感知。まぁ、弱いけど――っと。
(先に放っておいたクオンタム・サーチ側も反応したことに気が付く)
こらぁアレですわ。下や下。反応強いんは、床――地下室ちゃうかな?

ノカゼ
地下ぁ? 厄介やなぁ。
二人やし調査したら封して帰る?

イト
地下室やなんて閉塞なとこ行きたないしなぁー?
封して終いに賛成やわ。

ノカゼ
よっしゃ、パッと行ってサッと帰ろ。
階段は……あっちやね。

『プルルルル……プルルルル……』

――受付の電話が鳴る。

イト
わーお、さっそく鳴らしはったわ。
のんくん、大歓迎かもしれんで!

ノカゼ
なんや、相手してほしいんか?
どないするよ。こういうんはスルーした方が楽ではあるで。

イト
回線切れとる電話が鳴ったっちゅう噂は確認できたし、かまちょは無視や!
仕事は片付けるもんで増やすもんやないからな、さっさと行こか!

ノカゼ
それはそうや! ほな地下行こ!
(通路を進む)

イト
あんなんいちいち構ったるから、調子乗って「ほなもっとやったろ」とかなんねん!
良い子のみんなはスルーがいっちゃん大事やって覚えて帰ってほしいわー。
(周囲を見回しながら進む)

ノカゼ
リアクションしてくれたらやりがいもあるもんな。わかるわ。
(階段の前で立ち止まり、階下を覗く)

イト
ほらもー、僕らが離れてもまだ鳴っとるやん。
鳴らしたら誰かが反応する言うん学習しとるんやわー。
(ノカゼの隣で立ち止まり、P.E.M.スキャナーを確認する)
ほーん? やっぱ、この先やな。暗いし足元注意やでー。

ノカゼ
怪異も学ぶんやねぇ。
んー……暗いなぁ。これは明かりいるで。
あのペンライト使こてみる? あのなんちゃらランドでもろたやつ。

イト
ん? あー、今晩どない?みたいな名前のやつ?
使こてみてや! 結構イケるかもしれんしねぇ。

ノカゼ
ふっ(笑いをこらえる)。イトちゃんそんな風に思てたん?
そう、そのコンバ☆のペンよ。
見て見て、腰に装備してん。うち刀持つし右側しか空いてへんやん? せやし手放しで使えて角度変えられるように、機功部で調整してもろてん。

イト
コンバ☆やったら、ほぼ合ってるやーん?
お、ええやんええやん。ほんま、うちの機功部はええ仕事するわー!

ノカゼ
さぁ、地下到着や。ペンライト、スイッチオン!

――地下の廊下が照らされる。明かりは2メートル程度先まで届いている。

イト
あっかる!
やー、こんなん目ぇ細なってまうわー。
(ノカゼの傍らで照らされた方向を確認する)

ノカゼ
いや前から細いやん!
(片手で軽くイトの胸を叩きツッコミを入れる)
けど、こない明るかったら雰囲気もへったくれもないで。
(周囲を見渡しながら廊下を進む)

イト
えー、いつもよりようけ細なってますー!
(面白がって笑いながら言い返す)
雰囲気なんかええねんてー。のんくんはなんなにが出る思うー?
(背後を振り返って確認しつつ廊下を進む)

ノカゼ
そんな“いつもよりようけ回ってます”みたいな。あ、このネタってもう伝わらんのかな。
せやなぁ、いわゆる悪霊ではあるんちゃう?
被害状況からして、いたずら・脅かし連中の霊障にしては症状が重いやろ。

イト
伝統芸みたいなもんやのに? ややわぁ、通じてほしいとこやでー。
(足元を確認して前を向き、ノカゼを見る)
それなぁ、さっきの電話もそやし、執着強そうや。
っつーことは、や。……呪縛タイプちゃう?

ノカゼ
束縛してくる系? いややわ、縛って何するつもりなん。
(通路の左にある扉を通り過ぎる。窓からは置き去りにされたオフィス家具が見える)

イト
緊縛の話しとん? そら何って、ナニしかないやん!
(けらけらと笑って手を揺らしつつ、ちらりと見えた一室を眺めて前を向く)

ノカゼ
そんなエ〇ラップダンジョンみたいな――

――バン! 連続で叩きつけるような音が背後から響いた。

ノカゼ
っ!
(振り向き、ライトを向ける)
うわ、窓に手形ついとる。

イト
そんなお決まりな。コテコテやないかー……お?
P.E.M.スキャナーを見て暗い廊下を振り返る)
のんくん、あっちに反応あるわ。よう見えへんけど。

ノカゼ
え、どこ?
(振り返り、廊下を照らす)

――照らされた場所には何も見えない。

イト
見えへんけど、奥に反応あるなぁー。
てかココ視認性が悪いねん。サーチもしとこか。
(クオンタム・サーチを起動させ、数珠からいくつかの玉を外して放り投げておく)

ノカゼ
どのへんにおる?
(イトを振り返り、P.E.M.スキャナーの画面をのぞき込む)

――ライトに照らされなくなった暗い廊下、ノカゼが背を向けた後方に、白い影が浮かぶ。

イト
読み取れる? ここやここ。
(P.E.M.スキャナーの解析結果を見せつつ廊下の奥を示す)
のんくんの後方やな。ちょっと遠そうやけど……あ、ほら。やっぱ何かおるわ。反応しとる。

ノカゼ
その辺か。
(反応のあった辺りをライトで照らす)
何もおらんなぁ。あっちまで行ってみる?

イト
反応出てるんやからおるんは確かや。
見えへんとなったら……のんくん、ちょっとライト消してみ?
すぐ照らせるようにはしといてな。

ノカゼ
ライト?
ほな消してみるで。
(ペンライトのスイッチを切る。)

――ライトが消え、一帯が暗闇に包まれる。同時に、白い影が反応のあった辺りに現れる。

イト
……んー?
あ、あれちゃう? 恥ずかしがり屋さんやな。
(軽く声を潜めてノカゼを肘で軽くつつく)

ノカゼ
対象確認。封できそう?
の柄に手をかけ、声を潜めて返す)

『出ていけ』

――空間に声が響く。

イト
へぇ? なんや話せるタイプなんや。
けど、自分から誘い込んどいて、それはないんちゃう?
鉄扇を構えて首を傾げる)
なんやろ、あれは封で収まるタイプやなさそうやね?

ノカゼ
むしろ、封するまでもないんやない?

『出ていけ』『行かないで』『奪うな』『おまえのせいだ』『ちょうだい』

――音を立てて窓が、扉が、空気が振動する。

イト
なんやねん。ようけ喋りよるな。
てか、さっむいねん。もう、空気も悪いし、はよ終わらそ?

ノカゼ
データは取れた?

イト
ここまではバッチリやで。
こっから第三形態までいきますーとかやったら、追加せなあかんくらいやねぇ。

ノカゼ
オーケー。
(抜刀し、白い靄に向かって歩き出す)
声がでかいわりに一向に向かってきいひんのやな。声がたくさん……思念の集合体やろか。自分の形も定まっとらん。

『来るな』『やめろ』『見る目がない』『つぶれろ』

――生臭い風が、ノカゼとイトに吹き付ける。

ノカゼ
――苦しいな。今、楽にしたる。
(刀を振るう)

イト
――っと? 一撃ちゃうん?
(周囲の様子を窺っている)

ノカゼ
イトちゃん、反応消えた?

イト
測定中やで。
なんやロードが長いな……お、結果出たわ。ここのは終いやな、お疲れちゃん!
のんくん的にはどうなん、手ごたえあった?

ノカゼ
この程度なんでもないわ。
(言ってから、己の違和感を確認する)
いや、これは……少し疲れたかもわからん。
仕事に支障はないし、他に反応あるなら片付けに行くで。
(納刀する)

イト
ちょいお疲れちゃん? ほな、イトちゃんがマッサージでもしたろか?
上の反応はー、ええやろ。自然消滅しよるわ、こんくらい。
カビ臭いし、とっとと出よー。

ノカゼ
そらよかった。ほな撤収しよ。
そんで飯行こや。

イト
ご当地飯やな。ほな行こー。
あ、まっくらやしライト頼むで!
(ノカゼの背を軽く叩いて促す)

ノカゼ
っと、せやったな。
(ライトをつける)

――明るくなった廊下は、来た時と比べ土埃で汚れていた。

ノカゼ
意外と綺麗好きな怪異やったんやろか。

イト
おらんなったからて汚したらあかんわ!
手型やらはどないなったんかなー?

ノカゼ
手形は――
(廊下脇の部屋の窓をライトで照らす)
汚れてはおるけど、手形に見えるような見えへんような、どっちともつかん感じやな。

イト
言い訳利く程度にしよったんか。
なんやもうけったいやなーで済ます感じやな。
ほな、このままにしといても良さそうやし、上行こかー!
(ノカゼの背を軽く叩いて促す)

――1階に戻る。

ノカゼ
ここはあんまし変わってへんな。

イト
せやな。電話が静かやなー、くらいちゃう?
見回りせんでええなら楽やわ。
鉄扇の出番もなかったし、楽勝やったな。のんくんのおかげやでー。
(一階の様子を軽く確認しながら外へと向かう)

ノカゼ
電話も見とこか。
(受付カウンターへ向かう)
なんや、もっと遊んだほうがよかった?
(笑いながら肘でイトの腕をつつく)

イト
一応? もっかい鳴ったら、ちょっと強めにしばかなあかんてー。
(笑いながら受付の方を見る)
のんくんが刀振るってるとこ見んのは好きやで!

ノカゼ
え? かっこええて言うた?
(嬉しそうにイトを振り返る)

――受付カウンターの中には、外線用と思しき電話が一台置いてある。

イト
そらぁ、のんくんはかっこええで?
刀構えてるとこなんて写真集で売れるんちゃう?

ノカゼ
サイン練習せなあかんな!
……ちゃう。いつもやったらセクシーサービスショットの話になるとこやのに。やっぱりさっきのアレで思考に影響出とる。
(悔しげに眉根を寄せる)

イト
あっはっは!
せやなー、セクシーショットがいっちゃん先に浮かばんねやったらー……そろそろ刀の浄化しとかなあかんのちゃう?

ノカゼ
体力的にはまだいけそうやねん。腹も減るし睡眠も一応取っとる。
それに浄化で刀預けたらその間調査出られへんやん?

イト
あんなぁ、のんくん。
“まだ”イケるは、そろそろヤバいってコトやで?
そのうち自覚できんようなるんやから、僕が言うてるときにやっときぃ?

ノカゼ
……それもせやな。
うん、おおきに。帰ったら浄化するわ。
イトちゃんがおってくれて助かるわ。

イト
ええ子や!
ほな、帰ったらちょいと休憩やな!
ほんで、なんやっけ……電話や、電話。もうええんかー?
(受付に近づいて電話をつつく)

ノカゼ
ええ子て。
(笑いつつ電話に目を移す)
電源は――点いてへんわな。
(ディスプレイの埃を払い、表示が無いことを確認する)

イト
そら、のんくんはええ子やで?
ちゃあんと人の言葉を聞くんやから。
ん、こっちも大丈夫そうやな!

ノカゼ
そない言うてくれんのイトちゃんだけやわ。
どっちか言うたら“問題児”側やん?
お、異常無しか。
なんやったんやろな?

イト
あっはー! そらアレやで、のんくん!
イトちゃんも問題児やからや!
ま、鳴らへんねやったら、オッケーやろ。あれなんかな、地下からのお呼び出しやったんかな?

ノカゼ
揃って問題児やったかー!
そのうちがええ子なんやったらイトちゃんもええ子ってことやな!
電話取ったら出られんくなる的なトラップやったかもしれんで?

イト
えー? そらイトちゃんはええ子やで?
いうて、うちら調査部の成績ええからな! 有能コンビや!
電話取ったったら良かったかな? フルシカトしてもうたもんな、堪忍やでー。

ノカゼ
やんな!
関西調査部きってのエースコンビやで!
トラップなん触らんに越したことないて。
他記録いることない?

イト
あははっ、せやせや!
こないなエース捕まえて問題児や言うんも失礼な話やでー!
んー、大丈夫やでー。ちゃあんと記録取れてるし……あとは外を軽く見回って、しまいにしよか。

ノカゼ
こないだも宿代も請求蹴られたし、厳しすぎるで! 
よっしゃ、さっと回ってちゃっちゃと行こ。

イト
経理キッツいやんなぁ?
もうアレやねん、みっちゃんに当たるからあかんねん!
おーっ、ちゃっちゃ行くでー。
(建物の外へ向かう)

ノカゼ
弾いてくんのみっちゃんだけやもんな!

――建物の外に出る。

ノカゼ
あっかる。まだ日ぃ高いやん。だいぶ早よ終わったんやな。

イト
せやなー。特に苦戦するとこもあらへんし、ちょうど良かったんちゃう?

ノカゼ
『出る』いう噂も確かめられたし、現象は収まったし、ええ具合に解決できたと思うで。

イト
せやね、さすが僕らやで!
ほな、最終確認がてらぐるっと回って車戻ったら、ビー回収してメシ行こかー。
※蜂を模した小型ドローン「A.C.S.」のこと※

――このあと一仕事終えた二人は、豪華なランチを食べに昼の町へと山を下って行った。

以上が調査の一幕である。

登場した『F.R.A.M.E.』

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