新人、関西の調査部職員と遭遇する

――本部、エントランスにて――

イト
おっ、ガジロくんやん。久しぶりー!
(当たり前のように寄っていく)

ノカゼ
ほんまやガジロくんやん!
ひっさしぶりー!
(イトと一緒に寄っていく)

ガジロ
センメとミナミか?
本部に来るなんて珍しいな。

イト
年末やし言うて、本部にちょっと用事やねんよ!
その子らは? もしかして噂のアレなん?
(新人達を見る)

ノカゼ
どっちがそうなんやろ。
(新人達を見る)

ガジロ
噂?
こいつらは諜報部の新人だ。
こいつは尾久流倫。俺がメンターで付いてる。
こっちは八雲八。ホタルがメンターに付いてる。今は訳あって一時的に俺の預かりになってる。

尾久、八雲。
こいつ……この職員達は関西支部の調査部だ。
てめえら、挨拶しろ。

ルヒト
初めまして。
諜報部所属、尾久流倫おくるひとです。去年の春に入社しました。
よろしくお願いいたします。

ハチ
同じく諜報部の八雲八やくもはちと申します。
よろしくお願いいたします。

イト
はぇー、今回の新人は優等生やなぁ……感心や。
僕は仙匁糸せんめいといいますー、そんでね、こっちは僕のバディなんよ。
(ノカゼを示す)

ノカゼ
(すっと二人の前に出る)
南海乃風みなみのかぜです。よろしく。
(右手を差し出す)

ルヒト
はい、よろしくお願いします。
(握手に応じる)

(ノカゼはにっこり笑って手を握った後、続けてハチに右手を差し出す。)

ハチ
センメ先輩と、ミナミ先輩。
よろしくお願いします。
(ノカゼと握手をしつつ、ふたりの顔を見た)

ガジロ
関東と関西じゃあんまし組むことはねえかもしれねえが、覚えといてやってくれ。

イト
どっちもかわええなぁ、ええ新人ちゃんやん!
いつでも関西支部おいでや、僕らは歓迎しますよって。

ノカゼ
初々しいなぁ。
いつでも関西おいで。楽しいとこいっぱい案内したるで。
ガジロくんは今日はいつ上がるん?
仕事終わったら一緒に遊びに行こや。

ガジロ
今日はやめとくわ。こいつら連れてっから。
いつまでこっちにいるんだ?

イト
え? この子らも連れてったらええやん。
ホタルくんおらんのは寂しいけど、お仕事やったらしゃあないしねぇー。

ガジロ
こいつらそういうのダメなんだよ。
特に八雲はホタルから預かってんだ。勝手はできねえ。

ハチ
“そういうの”とは、なんですか?

イト
おお? なんや、八雲くんが興味ありそうやねんけど?

ガジロ
興味持ったらずっと聞いてくるぞ。
特に、てめえらが連れて行きたがるような場所のことはまず知らねえ。やめといたほうがいい。

ノカゼ
知らんのやったらむしろ教えた方がええんちゃうの?
いうてみんな成人しとるやろ。

ルヒト
ガジロさん、もしかしてですが、あの講習の類の話をしていますか?

イト
講習てなんなん?
本部はそない特別な講習あるん? え、羨ましいやん!

ハチ
成人していたら良くなかったのですか?
……? ルヒトは分かったのですか?

イト
ほんまや、この子めっちゃ聞いてくる!

ガジロ
な? やべーんだよ。

ルヒト
ハチ、これはあれです、ガジロさんのあの講習の類の話です。

ノカゼ
ガジロくんが講師やったん?!

イト
ガジロくんがこの子らに教えたん!?
こないかわええ子らに手取り足取り!?

ハチ
つまり……デートの話ですか?

イト
ほんでこの子まだ聞いてるやないの!

ノカゼ
デートしたん?! 本部では許されるん?!

ガジロ
俺とじゃねえぞ。こいつらがあんまりにも知らねえから、簡単に座学やって最後にテストしただけだ。当然健全なやつな。

ルヒト
デートのエスコートをしました。
他の職員の方にもいろいろ教えていただいて、良い勉強になりました。

イト
他の職員にもいろいろて……。
尾久くん、ええぞ。もっと詳しく教えてくれん?

ルヒト
クラブに行ったりランチに行ったり、他にもいろいろ、恋人同士に見えるようなことを教えていただいたんです。
(嬉しそうに語る)

ノカゼ
ガジロくん、なんで呼んでくれへんかったんや。
こんなんうちら適任やん。スペシャリストに育て上げたる。

イト
クラブにランチに、恋人に見えることて。そかそかぁ、みっちり教えてもろたんやねぇ?
すっごいなぁ、本部は進んでるわぁ!

ハチ
……?
(不思議そうに見ている)

ルヒト
関西支部ではそういう講習はないのですか?

ノカゼ
聞いたことないな、イトちゃん。
あったらうちらが知ってるはずや。

イト
ないで。せやけど、ないんやったら作ったらええんちゃうかな?
本部に来た甲斐あったな、のんくん。

ノカゼ
帰ったら早速、いや、ここにおる間に提案書作って投げとこか。
忙しなるで!

ルヒト
やはりあれは特別な授業だったのですね。

ガジロ
てめえがお子様なせいでな。
八雲、ついて来れてるか?

ハチ
ガジロ先輩の特別講習を関西支部でも開くということですか?

イト
当たらずとも遠からずやね!
せやったら、やっぱり遊び行ってもええやない?

ガジロ
講習はもうしねえよ。
連れてくのはダメだ。てめえらの遊びはディープすぎる。
俺だけ行く。

イト
やったで、のんくん。
ガジロくんと遊ぶチャンスゲットや!

ハチ
……。
(ルヒトの反応を見ている)

ノカゼ
ガジロくんとやったら遠慮なくディープなことできるな。
この辺のええお店紹介してや。

ルヒト
ハチ、離れて他人のフリしておきましょう。

ハチ
……ルヒトは分かりましたか?

ルヒト
その……アダルトなお話であることはわかりました。
詳しいことはガジロさんに聞いてください。

イト
なぁ、あの子らも連れて来たらええやん。
興味津々やで?
(新人達を示してガジロに言う)

ガジロ
俺は監督責任があるから承認しかねる。
連れて行きたきゃ個別で口説き落とすんだな。プライベートまでどうこう言わねえ。

イト
のんくん、今の聞いた?
ガジロくんから許可もろたようなもんよ?

ハチ
そういうことですか。
(納得したように頷く。が、少し考えて首を傾げる)
……そうなんですか?
(分からなくなってきた模様)

ノカゼ
あんまり経験ないんやったら、最初はうちらが丁寧に教えたる方がええかもわからんな。
今度一緒にお出かけしようや。

ガジロ
待て、本部こんなところでそれ以上はダメだ。
つーか用事があるんだろ。さっさと行けよ。

イト
せやったわ。さすがにこっちで遅刻したらまずいなぁ!
ほな、ガジロくん、またねぇー!
尾久くんと八雲くんも遊ぼねー!

ノカゼ
せやった。つい楽しなってしもた。
ほな、また遊ぼなー!

ハチ
元気な人たちでしたね。
(立ち去る様子を見送る)

ガジロ
あいつら24時間あの感じだ。まともに付き合うともたねえぞ。

ルヒト
「また遊ぼう」なんて、ガジロさんと仲がいいんですね。

ガジロ
あー、あれは「今度機会があったら遊びましょう」って意味だ。てめえらにも言ってるんだよ。

ハチ
噂とは、なんのことだったのでしょうか?
(仲が良いなら知っているかと、ガジロを見る)

ガジロ
さぁな。
他支部他部署での噂なんて知らねえよ。

ハチ
……そうですか。
(少し考えたものの納得した)

ガジロ
そろそろ出るぞ。送ってやる。

ハチ
はい。ありがとうございます。
調査部はバディ制なのですね。

ガジロ
(駐車場に向かって歩き出す)
単独調査は危険を伴うからな。最小2人で行動する。

ハチ
そうでしたか。
では、あの方達もお強いのですか?

ガジロ
強いだろうな。
あいつらはアレで調査部として優秀な成績を収めてる。

ルヒト
ミナミさんの手、分厚くて大きくて、戦う人の手でした。
視線も力加減も優しいのにゾワッとしてしまって……強者のオーラだったんですね。

ガジロ
……てめえらがそう感じたんなら、あんまりあいつらに近づかない方がいい。
ヤベーもんに興味本位で近づいていいことはねえからよ。

ハチ
やべーもん……ケイ先輩も交流があるのですか?

ガジロ
プライベートで交流はねえんじゃねえかな。
面識はある。

ハチ
そうでしたか。
ガジロ先輩はよく遊ばれるのですか?

ガジロ
よくってほどではねえな。遠いし。

ルヒト
ディープなお店で遊ぶのですか?

ガジロ
……意味わかってねえだろ。
まぁ、てめえからすりゃディープだろうな。

ハチ
お酒ですか?

ガジロ
酒もあるし、イロイロだ。汚え大人の欲にまみれた場所だよ。
危険もある。知らずに近寄ったらカモにされるだけだ。

ハチ
つまり、アウトロー系ですか?

ガジロ
そうそう、それだ。八雲はよく知ってるな。
質問タイムは次で最後にしろ。

ルヒト
はい。調査部の“優秀”とは何を指すんですか?

ガジロ
“危険な異常現象の早期発見”だ。
次、八雲。

ハチ
はい。調査部における成績とは何ですか?

ガジロ
組織としての指標はいくつかある。
そのうちの1つが「調査の質」だ。
調査報告書ごとに点数で評価され、点数が平均して高けりゃ成績に繋がる。

あいつらは平均60点台で、関西支部トップクラスの成績だ。
加えて、あいつらの仕事ぶりは他の職員の仕事もやりやすくしてるらしい。成績にこそ反映されねえが、下支えしてる貴重なベテランだよ。

ハチ
理解しました。ありがとうございます。
……すごい方々でしたか。
(本部の方を振り返る)

ルヒト
職人肌のガジロさんがそこまで言うなんて、相当できる方々なのですね。
(ハチと一緒に本部の方を振り返る)

ガジロ
調査部の報告書を見る機会も多いからな。読む立場になると助かる書き方が見えるようになる。
てめえらも読む立場になればわかる。

ハチ
(ガジロの言葉を聞きながら頷く)
分かりました。
……先ほどは貴重な機会だったのかもしれませんね。
(ルヒトを見る)

ルヒト
そうですね。
(ハチに頷く)
もし機会があれば、是非とも調査のお話しを伺いたいものです。

ハチ
調査に関してはケイ先輩も、知っておく方が良いと言ってました。
……ルヒト。私達、かなり恵まれているのではないでしょうか。
(機巧部と諜報部それぞれの話が聞ける環境であることに気付いた)

ルヒト
部署違いで教育担当になるのは珍しいんですよね。
どうしてわざわざ違う部署の方がと思っていたのですが、もしかしてこうした交流のためでしょうか。

ガジロ
恵まれてる、か。てめえらにとっていい影響になってるならよかった。

ハチ
しっかり活用しないといけませんね。

ガジロ
はは、いい心がけだ。
ほら着いたぞ。乗れ。
(車の鍵を開ける)

ハチ
ありがとうございます。
ルヒト、がんばりましょうね。

ルヒト
ありがとうございます。
はい、がんばりましょうね!

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