アトラクション探し
――『ねこやすみ』を出た4人は、調査するアトラクションを探していた――
ハチ
……このあたり、さまざまな反応が多いようです。
(確認していたクロノ・トレーサーから顔を上げ、ホタルを見遣る)
ホタル
うん、合ってる。確かに反応が多いね。
(クロノ・トレーサーの解析結果が表示されたアプリ画面を確認後、ハチを見て頷く)
ハチ
このアトラクションは……何でしょうか。
ルヒト
【研究施設からの脱出】……いわゆる“脱出ゲーム”というもののようです。
続きを読む
ガジロ
パスだな。
ホタル
パスが早いよー。
ハチ
脱出することが目的のゲームなのですか? 外から入るのに脱出なのですか?
ホタル
おおっと、始まっちゃった?
ハチ
ケイ先輩は知っているのですか?
ホタル
知ってるけど、体験したことはないんだよねー。
ルヒト
謎解きとセットのものは聞いたことがあります。
これは……それとは違うようですね?
ガジロ
脱出を目指すってことは、脱出を妨害する仕掛けがあるってことだろ。
時間がかかりそうだ。めんどくせえ。
ホタル
んー、でも、他の場所よりも反応が多いみたいだよ。
人間も、それ以外もね。
ハチ
謎解きとセットではないということは、謎以外に妨害されるということですか?
ホタル
そうだろうねぇ……スタンダードでいくと迷路じゃない? みんな苦手ー?
ルヒト
苦手意識はありません。
どんなゲームなのか気になります。
ガジロ
ゲームに興味はねえ。
ホタルの指示に従う。
ホタル
暗いところや狭いところが苦手とかもないかな?
ハチ
特にはありません。
ルヒト
私も特に問題ありません。
ガジロ
俺も問題ねえ。
ホタル
みんな大丈夫そうなら、ここにしよう。
妙に反応が集中してるしねー。
ガジロ
参加は4人1組か?
ホタル
案内によるとー……特に人数の制限は書かれてないね。
ただ、1組ずつしか入れないみたいだよー。
ガジロ
1組ずつか。
じゃあ誰かとかち合う心配はねえわけだ。
(ニヤリと笑う)
ホタル
わぁ、悪いカオしてるねー。
(ガジロを見て楽しそうに笑う)
ハチ
……?
(ルヒトの方を見る)
ルヒト
どうかしましたか?
(ハチを見て首を傾げる)
ハチ
結局どのようなゲームなのでしょう?
ガジロ
説明は書いてねえのか?
ホタル
『看守に捕まったらゲームオーバー、出口までたどり着いたら脱出成功』だって。シンプルだねー。
ハチ
迷路の中で鬼ごっこをするようなものですか?
ホタル
うん、そんな感じだと思うよ。
百聞は一見に如かずだし、入ってみれば分かるさ。
ガジロ
怪異と鬼ごっこ、ねぇ。
元の世界でそんなんあったらホラーだな。
ルヒト
ここはアトラクションですから、最初にキャストさんから何か説明があるかもしれません。
とにかく入ってみましょう。
ホタル
あははっ、あんまりやりたくないよね、怪異と鬼ごっこ。
よし、じゃあ入ろ入ろ。みんな、はぐれないようにねー?
ルヒト
はーい。
ガジロ
遠足じゃねえんだぞ。返事は?
ルヒト
そうでした。
了解です!
ホタル
あははっ、リンクンは可愛いねぇ。
ゲームスタート
――ホタルを筆頭に、アトラクション施設に入場する――
ホタル
さて、と。中は……かなり暗いね?
ハチ
スタートはどこでしょう?
???
誰だ?
続きを読む
ガジロ
……。
(警戒し周囲に目を凝らす。しかし暗闇で姿は見えない)
ルヒト
キャストの方でしょうか?
(小声でホタルがいる方へ話しかける)
ホタル
人の気配はないよね。
(ハチの腕に触れて促しつつルヒトの方に距離を詰める)
ハチ
……。
(同じく距離を詰めつつクロノ・トレーサーを確認している)
――暗闇の中に薄ぼんやりと目が浮かぶ。
???
……。
――きょろきょろと参加者の顔を見渡し、目を見開いた。
???
そうか!
この研究所を調べにきたんだな。待っていたぞ。
ルヒト
ここ研究所の設定なんですね。
ガジロ
ゲームはもう始まってるってことか。
ホタル
なるほど、『研究施設からの脱出』だもんね。
ひとまず案内を聞いてみよっか。
???
私は、ベルタ。ここの看守の一人だ。
ガジロ
看守?
ルヒト
倒した方がいいってことですか?
ハチ
小型セダンと同じ名前ですね。
研究所に看守がいるのですか?
ホタル
うん、まぁ、一旦聞こうよ。
ベルタ
おっと、動かないで!
……はは、冗談だよ。そんなに怯えないでくれ。
安心して。君たちの味方だよ。
不思議そうな顔をしてるね。武器も持たない君たちが、どうしてここまで誰にも見つからずに来られたと思う?
……私がルートを空けておいたからさ。監視カメラも、今の時間は『故障中』にしてある。
私はこの研究所が隠している……その、人道に反する『お遊び』を終わらせたいんだ。だが、内部の人間が告発しても握りつぶされるのがオチでね。
だから外の人間である君たちの力が必要なんだ。
……君たちが持ち帰る証拠だけが、この場所を潰す唯一の鍵になる。
ガジロ
音声を再生してるだけだろうが……勝手に怯えたことにされてんのは癪に障る。
ルヒト
クレームは後でコンバチャンネルに送りましょう。
ホタル
そういう設定だろうから仕方ないよー。
ハチ
持ち帰る証拠があるということですか?
ホタル
うーん、どうだろう。それを見つけないといけないのかもね?
――ベルタは何かに気づいた様子で、一点を見つめる。
ベルタ
……まずい、巡回の足音が聞こえる。
このままだと、話の通じない同僚たちに見つかってしまう。
こっちだ、早く!
――足元だけがぼんやりと明かりを帯びる。歩くのに支障はなさそうだ。しかし足元以外は暗闇で、ほとんど見えない。
ルヒト
キリツボさん、付いて行きますか?
ホタル
話の通じない同僚たちが看守なのかな?
そうだね、行っちゃおう。気を付けてね。
ハチ
真っ暗ですね。
ガジロ
普通、こんだけはっきり足元が見えりゃ周辺ももっと見えるんだが……。
この異常さ、怪異らしいじゃねえか。
ルヒト
え、これ心霊現象なんですか?
ガジロ
さあな。
光の直進性が低いか、壁面の吸光度が高いか……。金かけりゃ、現実でも似たような演出はできるかもな。
――少し移動し、物陰で声を潜める。
ベルタ
……ひとまずはやり過ごせたかな。
ハチ
凝った演出ですね。
ホタル
どこでこういうの覚えたんだろうね、コンバートクンは。
(興味深そうに周囲を眺めつつ、ベルタの音声を聞いている)
ルヒト
わくわくしますね。
ガジロ
けっ。人間の真似事をする人外に碌なもんはねえ。
ベルタ
そうだ。もし看守に見つかりそうになったら、“壁に『薄っすら光る盾のマーク』が描かれたエリア”を探すといい。
そこは特別なプロトコルが働いていてね。我々看守は立ち入ることができない。絶対に安全な場所だ。
ハチ
すごくメタ的ですね。
ホタル
ゲームだからねー。
盾のマークが目印なら、分かりやすく良いね。
ルヒト
……『看守が立ち入れない場所』が、『看守が巡回する通路』にあるんですか?
ガジロ
ちゃんと設定があるとすれば……
1、看守に触れられたくないものがあり、それを守る仕組みがある
2、そいつが何かの理由で安全地帯を用意した
……あたりじゃねえか?
ベルタ
ただし、それ以外の場所では常に警戒を。同僚たちは『気配』に敏感だ。
一箇所に立ち止まれば様子を見に来るし、走ればすぐに勘づかれる。
常に動き続け、かつ静かに。
分かったね?
ハチ
ベルタが内部告発のために作ったのでしょうか。
ホタル
あー、ハチクン。ベルタの存在は受け入れてるんだね。
ハチ
はい。
しかし、常に動いてはいるものの音を立てないというのは――
ホタル
速やかに行動しようってことだと思うよー。
(質問モードの気配を察知して早めに阻止)
ルヒト
避難のやつみたいですね。
押さない、駆けない、走らない……ん? “おかし”ってこれじゃなかったでしたっけ?
ホタル
ああ、あったねぇ。
今は『おかしもち』らしいよー。
ハチ
押さない、走らない、しゃべらない……?
ホタル
戻らない、近づかない、だねー。
ガジロ
……実用的だな。
俺達の現場も似たようなところがある。
「異常現象発生中に振り返らない」「異常現象に近寄らない」。
覚えとけよ、特に尾久。
ルヒト
は……了解。
ハチ
了解です。
ホタル
あはは、そうだねぇ。
「異常が発生している空間の食物を食べない」も入れておこうかー。
ベルタ
……静かに。分かったね?
ルヒト
あれ、今音声が繰り返されました?
ハチ
分かりました。
(周囲を見回しながら答えてみる)
ベルタ
分かったね?
ルヒト
はい。
(目が自分を見ている気がして、答えてみる)
ホタル
はーい。
(エッジ・ファントムに触れて確認しながら、続けて答えてみる)
ガジロ
……。
ベルタ
分かったね?
ガジロ
くそ、分かった、分かったから先進めろ。
ベルタ
いい返事だ。
ガジロ
くそが。
ホタル
あははっ、そんなに抵抗しなくてもー。
やっぱり全員だったねぇ。
ガジロ
できるだけ怪異に返事したくねえんだよ。
ホタル
仕方ないよー、調査に必要なんだからさ。
ベルタ
さあ、モタモタしている暇はない。
君たちを『研究素材の保管庫』へ案内する。
あそこには施設の狂気を暴く証拠が眠っているはずだ。
ついてきてくれ。
ハチ
モタモタしているつもりはなかったのですが。
ホタル
ああいう演出だと思うよー。
ひとまず、案内してもらおう。
――分かれ道に差し掛かる。
ルヒト
一本道ではないようですね。
ハチ
道を覚えていないと迷いそうですね。
ベルタ
あっちの通路の先に明かりが見えるか?
――緑の明かりが灯っている。
ベルタ
あそこは我々看守の貴重な充電場所だ。
予備のバッテリーをセットして、エネルギーを補充するための場所さ。
ただ、ここの電力管理は異常にケチでね。
このスポットで補充できるのは、せいぜい全体の3割程度……ちょっとした『継ぎ足し』にしかならない。
100%を超えて溜め込むこともできないし、使いきれなかったエネルギーはシステムに回収されて消えちまう。
すべての道具で同じ電力を食い合う設計だから、残量や消費量を気にしながら使わないといけない。めんどうなことだよ。
ハチ
施設内に存在するすべての道具がバッテリーを共有しているということでしょうか。
ホタル
さすがに看守単位じゃないかな?
ガジロ
……これは何の話だ?
ルヒト
これ自体は充電システムの説明ですね。
充電が必要になる場面が後々出てくるんだと思います。
ガジロ
エネルギーを使う道具が何かあるってことか。
ベルタ
おっと、無駄話をしてしまったな。
どうも私は余計な話をしてしまう性質らしい。
先を急ごう。
ハチ
エネルギーを使う道具……どのような道具があるのでしょうか。
話からすると、相当な高出力ということなのでしょうか。
ホタル
うんうん、気になるところはあるけど、ひとまず行こっかー。
ガジロ
つーか、まだ着かねえのか?
ルヒト
まぁまぁ、ゲームの説明パートですから。
ベルタ
止まって。
ハチ
……ここが『研究素材の保管庫』ですか?
(足を止める)
ルヒト
暗くてよく見えませんね。みなさん、少し静かにしててください。
(カツン、と、かかとを鳴らし、耳を済ませる)
……行き止まりのようです。ぶつからないように止めたのでしょう。
ガジロ
じゃあ明かりでもつけとけってんだ。
ベルタ
着いたよ。
地下2階、第14保管庫。
――目の前の扉がキィ…と音を立てて開く。
ハチ
第14、そんなにあるんですか。
ホタル
気にするところは、そこじゃないと思うなー。
(扉を見ながら様子を窺っている)
ルヒト
……え?
――玄関があった。そこからワンルームが広がっている。
ハチ
……保管庫。
ホタル
お部屋だねー。
(一歩踏み出して中を覗き込む)
ガジロ
世界観どうなってんだ。
ベルタ
驚いたかい?
ここだけは他の部屋と違って、人間の住居に近い造りに『カスタマイズ』されているんだ。
……かつてここにいた『素材』のために、わざわざあつらえられた檻さ。
ハチ
……シナリオの想定通りに驚いてしまいました。
素材とは、人間のことでしたか。
ルヒト
序盤に種明かしをされた気分です。
ガジロ
設定の説明なんだろ?
ルヒト
こういうのはむしろ調査の結果明らかになるのが定番です。
「この研究は実は人間を素材にしていたんだ!」って。
ではいったい、何を暴くのでしょう?
ベルタ
ここで何が行われていたか……その基本的なことは、この部屋を調べれば十分にわかるはずだ。
もし君たちが証拠を持ち帰り、無事に脱出することだけを望むなら、ここが終着点になるだろう。
ハチ
この部屋に持ち帰るべき証拠があるが、基本的なことしか分からない、ということですか。
ルヒト
この部屋で証拠を見つけて、無事に脱出するのが最小目標になるようですね。
ベルタ
だが、もし『すべて』を知りたいというなら……。
この施設の心臓部、『管理人室』を探せ。
ハチ
管理人室。マンションみたいですね。
そこに“マーブルクラフト”の鍵が眠っている。
ガジロ
別に全攻略する必要ねえと思うんだが、どうする?
ホタル
――ちょっと引っ掛かることがあるかな。
これまでのゲームに比べて随分と凝ってるでしょ。
それに、他のアトラクションよりも配置数が多そうだし、何かあるかもしれないよ。
ハチ
何か、ですか?
ホタル
例えば、コンバートからのメッセージ――とかあるといいよねー。
(真剣に言ったあとでゆるやかに笑う)
全攻略いこっか、乗り掛かった舟だしねぇ。
ガジロ
了解。
ルヒト
やった! 全攻略しちゃいましょう!
ベルタ
これ以上は監視の目を誤魔化せない。
その手で証拠を掴んで、この忌々しい場所を終わらせてくれ。
私の願いは、それだけだ。
ハチ
ベルタのお願いを叶えることが目的のように言われましたね。
ルヒト
最初に『待っていた』と言っていましたから、私たちはベルタに呼ばれたという設定なのでしょうか。
ベルタ
幸運を祈る……。
――声が終わると同時に、部屋の明かりが点く。
ハチ
設定紹介が長かったですね。
ホタル
導入って言ってあげてよー。
ルヒト
体験型イベントではよくあることです。
ガジロ
行ったことないっつってなかったか?
ルヒト
シアターの先輩から聞いたことがあるだけですよ。
さあ、調査を始めましょう!
地下2階 第14保管庫
――『研究素材の保管庫』は、一人暮らしのワンルームの形をしていた――
ハチ
……素材一体分の居住空間でしょうか。
(室内を見回しつつ)
ホタル
素材呼び早いよー。
続きを読む
ルヒト
おじゃましまーす。
わ、お風呂とトイレがちゃんとありますよ。
ガジロ
奥にはベッドやら机やら……十分住めるじゃねえか。
ホタル
本当にしっかり生活できる環境が整っているんだねー。
ハチ
素材のためにわざわざ、という感じでしょうか。
ホタル
世界観を受け入れるの早すぎない?
ガジロ
素材っつーけど、“使う”やつにこんな豪華な設えするか?
長期的に住まわせる前提……飼育に近いんじゃねえか?
ルヒト
手袋……は、要らないですね。
私は机から見てみます。
(引き出しを開ける)
ハチ
これを素材にとっての標準だと認識しているのでしょうか。
ルヒト
キリツボさん、手記がありました。
(ホタルに渡す)
ホタル
監禁という感じでもないもんね。
おっと、リンクンさすがだねー!
(手記を受け取る)
ハチ
素材のものですか?
ホタル
素材呼びやめよ?(苦笑い)
この部屋の主だった人のものだろうね。
ガジロ
住居の標準がワンルームだと思われてんのか?
お前らは?
ルヒト
1Kです。
ハチ
私のところも1Kです。
ホタル
僕は1LDKだなー。
ハチ
持て余しませんか?
ホタル
すごく持て余してるよー。
ルヒト
ハチと暮らすなら2LDKは欲しいです。
ガジロ
やっぱ広い方がいいよな。
……人間の標準だからこうしたっつーより、住人の要望が通ってここまで整えられたのか。
何の研究なのか謎過ぎる。
ルヒト
それを調べるんでしょう?
証拠の捜索を続けましょう。
ホタル
ワンルームなら探しやすいね。
手記は調べておくから、各自探してみてくれるかな?
ハチ
……隠し場所なら。
(ベッドに近づいて下を覗き込んだ)
何かあります。
ルヒト
何ですか?
(ハチの後ろから覗き込む)
――小ぶりな箱だ。蓋が被さっている。
ハチ
箱です。やはりベッド下はマストでした。
(腕を伸ばして小ぶりな箱を引っ張り出す)
ホタル
んー……それって、もしかしたら脱出用のアイテムかも。
(手記から視線を上げてベッドに近づく)
ルヒト
“やはり”?
定番なのですか?
ハチ
はい。ベッド下にはお宝と夢があると兄から聞いたことがあります。
無暗に覗いてはいけないそうです。
ガジロ
こっそり覗いてみりゃいいじゃねえか。意外な発見があるもんだぞ。
ハチ
こっそり……皆さん、ベッド下には何を置いているんですか?
ホタル
ドストレートすぎない?
ルヒト
何かマズいんですか?
私は衣装ケースを置いてます。
ホタル
僕は置くものがないかなー。
サギリは?
ガジロ
エロ本。
ホタル
……あー、今のは僕が悪かったね。ごめんねー。
ガジロ
なんだ、わかってて聞いたんじゃねえのか。
ハチ
雑誌ですか?
ホタル
そこ掘り下げるところではない気がする……。
ルヒト
……ハチ、宝物はそっとしておきましょう。
お兄さんにとって大事な物なら触らない方がいいです。
ハチ
お宝と夢と表現するものなので大事なものだとは思いますが、何があるのかまでは知りません。
……知りたくなってきました。
ホタル
はいはい! とにかく、箱を開いてみよう!
(手を叩く)
ルヒト
ハチ、箱を開けましょう!
ハチ
はい。
(箱をオープン)
――アイテムを見つけた――
ハチ
……道具が入っていますね。
これが脱出用アイテムですか?
(開いた箱をみんなに見せる)
ガジロ
ライトと、ブレスレットと……これは警棒っぽいな。
あとの2つは見た目じゃわかんねえな。
説明書は入ってねえか?
ハチ
はい、箱の底にありました。
(説明書を広げる)
そちらがバッテリーのようです。すべての道具で共有しているとベルタが言っていたものでしょうか。
ガジロ
バッテリーを共有ねぇ。
(道具を手に取る)
ユニットになってるってことだとしたら、随分と効率が悪いな。
有線接続ならともかく、道具は単体だ。無線で充電出来るなら充電スポットなんてわざわざ要らねえはず。
……脱出用にかき集めて改造した?
ルヒト
脱出の道具のことは、手記には書いてありましたか?
ホタル
手記によれば、ベルタがその道具を準備したみたいだよ。
この部屋の主とここから出る約束をした、って書かれているね。
(手記をめくりながら言う)
ルヒト
ベルタはまだいました。
部屋の主は、どこにいるのでしょうか。
ハチ
ベルタに聞かないと分からないかもしれませんね。
ガジロ
証拠はこの部屋で集められるって話だろ?
他に何かないか?
ホタル
ここでは、知的生命体を新たに作り出す実験をしていたみたい。
そのために生態を調べられているって書かれてるけど……。
連れて行かれちゃったのかもね。
ガジロ
わかっちゃいたが、碌でもねえな。
その手記を持って帰ればミッションクリアか?
ハチ
管理人室に行けば、真相が分かるのではありませんか?
ルヒト
……キリツボさん。
(大きなカーテンの前にルヒトが立っている。ワンルームならベランダと思しき場所だ)
ホタル
リンクン、どうかした?
(手記から顔を上げてルヒトを見遣る)
ルヒト
これ、なんだと思います?
(カーテンを開ける。あったのは窓ではなく、鏡。一面鏡張りになっていた)
ホタル
……この部屋全体が、ケースに入っているみたいだね。
(しげしげと鏡を眺める)
ハチ
アリの巣を観察するときのようですね。
ホタル
そうだねぇ。さしづめ、箱庭ってところかな?
ガジロ
(鏡に近づき、手を当てる)
確かに観察用だな。マジックミラーだ。
ルヒト
箱庭……。要望が通ったのも、それをどう配置するか見たかったから?
ホタル
生態を把握するための観察の一環だったのかもしれないね。
そうなってくると、この研究施設は人間ではない存在が創った、という感じかなぁ。
ルヒト
このアトラクション用の設定、なんですよね?
ガジロ
こんなところに居てられるか。
さっさと出るぞ。
ホタル
アトラクション用の設定にしては、露骨な気がするね。んー……。
(手記を眺めて少し考える)
別行動できるかな。サギリはふたりを連れて出られそう? 僕は管理人室を調べるよー。
ガジロ
一人で行くのか?
ルヒト
私も管理人室行きたいです。
ホタル
大丈夫だろうけど、危ないかもしれないからねー。
リンクンも気になってるの?
ルヒト
はい。そこに秘密があるなら私も見たいです。
ガジロ
つってるが、どうする?
ホタル
んー……そうだねぇ、じゃあ、管理人室に行きたいひとー?
ハチ
……。
(持っているアイテムボックスごと手を上に)
ガジロ
……。
(手をあげない)
ホタル
ハチクンもかー……よし、サギリも行こう。
単独だと出してくれないかもしれないし、付き合ってよー。
ガジロ
りょーかい。
んで、これの使い方は分かったのか?
ハチ
ケイ先輩。
ホタル
はーい。
(ハチが持っている箱から説明書を取る)
んーっと、そっちの端末は看守同士で位置を確認するために使うみたいだね。
それがあれば、近づいて来る看守を把握できるね。
ブレスレットは……元々は看守のもので、発動させれば「看守」として認識されるみたいだよ。
ガジロ
警棒はただの棒でよかったか?
ホタル
警棒は看守に使うと、数秒間は動きを止められるみたい。
具体的に何秒か分からないけど、逃げる隙が生まれるんじゃないかな?
ガジロ
元は看守が使うもんだと思うが、逃げる用にベルタが渡したのか。
ルヒト
おかしな道具ばかりですね。
設定が適当なのか、まだ情報が隠されているということなのか……。
ガジロ
人外のやることだからめちゃくちゃなのかなんなのか分かんねえな。
道具は誰が持つ?
ホタル
4つあるから、ひとつずつ持てばいいんじゃないかな。
ほしいものがなかったら、僕が適当に分けていくよー。
ガジロ
任せた。
ホタル
おっけーい!
じゃあ……まずリンクン。看守の位置が分かる端末を渡しておくねー。
ハチクンには、警棒にしておこうかな。
サギリはこの、ブレスレットにしとこっか。どう?
ルヒト
了解です。
(端末を受け取る)
ガジロ
了解。
……ブレスレットが身分証的なことなら、偽装できるのは俺だけの可能性がある。
その場合、てめえらに素材のフリしてもらうかもしれねえ。いけそうか?
ハチ
了解です。
(警棒を持って確認している)
ホタル
素材のフリは、まぁ、そうだねぇ。
がんばろう。ね、リンクン、ハチクン。
ルヒト
了解です!
(楽しそうに目を輝かせている)
ハチ
了解です。
ホタル
うん、よしよし。頼むよー。
それじゃ、管理人室を目指そうか。
ガジロ
ホタル、これも持っててくれ。
(バッテリーを渡す)
使用の指示出しを頼みたい。
ホタル
はーい、バッテリー残量を見ながら指示出しだね。任せてー。
ガジロ
任せた。
俺から出る。準備はいいか?
(みんなの顔を見渡す)
ホタル
僕が後ろを守るねー。
ハチ
はい。問題ありません。
(ルヒトを見る)
ルヒト
私も、問題ありません。
(少し緊張した面持ちで頷く)
ガジロ
……では。
これより管理人室の探索に向かう。
各員、気を引き締めていけ。
